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デザイン依頼書・指示書のテンプレートと書き方|「おしゃれに」の書き直し例

公開日 最終更新日

執筆:TASKUL編集部

デザイン依頼書・指示書のテンプレートと書き方|「おしゃれに」の書き直し例

取引先の工務店からリフォーム相談のLPを頼まれ、「おしゃれな感じで、若い人にも響くように」「参考はこのサイトみたいな感じで」と書かれたメールが1通届いた場面を考えます。前に似たメールをデザイナーにそのまま転送して、初稿から3往復した経験があるなら、今回は渡す前に手を入れたいところです。

デザイン依頼書は、依頼文を転送せず、テンプレートの12項目に書き直してから渡します。埋まらない行(誰が見るか・参考にする部分・最後に決める人など)は、クライアントに聞き返します。

「おしゃれに」のような言葉は、色・写真・文字量・余白の言葉に置き換えて書きます。初稿も同じ12行で確かめ、ずれた行だけを直してもらいます。

この記事は、取引先からLP・バナー・チラシなどのデザインの依頼を受け、外注のデザイナーに頼む人向けです。Webディレクター、制作会社の進行担当、デザインまで手が回らないフリーランスを想定しています。

自社の販促物をデザイナーに直接頼む担当者も、同じテンプレートをそのまま使えます。デザインが出来上がった後にコーダーへ渡す書類や、初稿が出た後の修正指示の書き方を探している人には、途中でそれぞれの記事を案内します。

最後に、依頼文からデザイナーへの申し送りを作る手間をTASKUL(タスクル)で減らす方法も、できないことと合わせて紹介します。

この記事で分かること

  • そのまま使えるデザイン依頼書の12項目
  • 「おしゃれに」「高級感」などのあいまいな言葉の言い換え方
  • 初稿が届いたあと、依頼書をもとに修正指示を出す手順

デザイン依頼書のテンプレート(コピペ用12項目)

デザイン依頼書は、デザイナーに「何を・誰に向けて・どんなイメージで作ってほしいか」を渡す書類です。次の12項目を上から埋めれば1枚になります。デザイン指示書やデザインブリーフと呼ぶこともありますが、呼び方が違っても中身は同じです。

右端の「決める人」の列には、その行をクライアントに聞けば決まるのか、間に立つ自分が決めるのかを書いておきます。両方が関わる行は、何を聞き、何を自分で決めるかまで分けて書きます。先に分けておけば、埋まらない行を誰に聞けばいいかで迷いません。

デザイン依頼書のテンプレートの図。「おしゃれな感じで」「若い人にも響くように」「参考はこのサイトみたいな感じで」という依頼文を、目的・誰が見るか・載る場所とサイズ・必ず入れる要素・原稿の状態・素材・トーン・参考デザインと参考にする部分・NG・任せる範囲・案の数と修正回数と確認する人・納品形式と期日の12項目に書き直す
依頼文の言葉をそのまま渡さず、12項目のどこに当たるかを振り分けてから渡します。
No 項目 書くこと 決める人
1 目的 このデザインを見た人に何をしてほしいか(1つ) クライアント
2 誰が見るか 見る人と、その人がいまどんな状態か クライアント
3 載る場所・サイズ 媒体・サイズ・スマホとPCのどちらが主か ディレクター
4 必ず入れる要素 入れるものと優先順位 クライアント
5 原稿の状態 確定/仮/お任せのどれか ディレクター
6 素材 写真・ロゴを誰がいつ用意するか 誰が用意するかはクライアントに聞き、期日はディレクターが決める
7 トーン 形容詞ではなく、色・写真・文字量・余白の言葉で クライアントに聞いてディレクターが言葉にする
8 参考デザインと参考にする部分 URL・参考にする部分・真似しない部分 クライアントに聞いてディレクターが書く
9 NG 使わない色・表現と理由 クライアント
10 任せる範囲 提案してほしいもの/指定どおりのもの ディレクター
11 案の数・修正回数・確認する人 初稿の案数、修正の回数、最後に決める人 案数と修正回数はディレクター。最後に決める人はクライアントに聞く
12 納品形式と期日 形式・初稿日・最終日 クライアントに聞いてディレクターが決める

自社の販促物を自分で頼む場合は、「クライアント」と「ディレクター」の欄を、どちらも自分か、社内で最後に決める人に置き換えてください。

目的・見る人・載る場所の3項目(1〜3)

行1の目的は、見た人にしてほしい行動を1つだけ書きます。「知ってもらいたい」と「問い合わせを増やしたい」が並んでいると、デザイナーはどちらを目立たせるかを決められません。

行2の「誰が見るか」は、年代だけで終わらせず、その人がいまどんな状態かまで書きます。「30代」より「中古の家を買ったばかりの30代」のほうが、写真や言葉を選びやすくなります。

行3には媒体とサイズに加え、スマホとPCのどちらで見る人が多いかを書きます。

入れる中身と素材の3項目(4〜6)

行4には、必ず入れる要素を優先順位つきで並べます。順位が無いと、全部を同じ大きさで並べた初稿が届きやすくなります。

行5は原稿の状態です。仮の原稿だと伝えずに渡すと、差し替えで文字があふれることがあります。

行6の素材は、写真とロゴを誰がいつまでに用意するかと、置き場所まで書きます。誰が用意するかはクライアントに聞き、期日はデザインの日程に合わせて自分で決めます。

イメージを伝える3項目(7〜9)

行7のトーンは、「おしゃれ」「高級感」のような形容詞で書かず、色・写真・文字量・余白の言葉に直します。直し方は、後半の言い換え表にまとめています。

行8の参考デザインは、URLだけでなく「どこを参考にするか」と「どこは真似しないか」まで書きます。行9のNGは、使わない色や言葉に理由を添えます。理由があれば、デザイナーは近い色や似た言い回しも避けられます。

進め方の3項目(10〜12)

行10は任せる範囲です。レイアウトや写真選びのように提案してほしいものと、色のように指定どおりにしてほしいものを分けて書きます。

行11に入れるのは、初稿の案数と修正の回数、そして最後に決める人です。案数と修正回数は自分で決め、最後に決める人はクライアントに聞きます。担当者の先に社長がいるなら、その人まで書いておきます。

修正の上限をどう決めるかは、修正回数の上限と追加料金の決め方の記事で手順を紹介しています。行12は、初稿日と最終日を分けて書きます。公開日や配布日をクライアントに聞き、そこから逆算して決めます。

金額や支払期日は依頼書に入れず、発注書やメールで別に送ります。相手が従業員を雇っていない個人のデザイナーなら、頼む側は取引条件を書面かメールなどで示す必要があります。

フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)で決められていることです。頼む側が従業員のいないフリーランスでも、この義務は同じです(公正取引委員会のQ&AのQ9)。

コピーして使うテンプレート(エクセル・スプレッドシート用)

次の枠をそのままコピーし、エクセルかスプレッドシートのA1に貼ると、列が分かれた表になります。「記入」の列が、案件ごとに埋める欄です。

No	項目	書くこと	記入	決める人
1	目的	このデザインを見た人に何をしてほしいか(1つ)		クライアント
2	誰が見るか	見る人と、その人がいまどんな状態か		クライアント
3	載る場所・サイズ	媒体・サイズ・スマホとPCのどちらが主か		ディレクター
4	必ず入れる要素	入れるものと優先順位		クライアント
5	原稿の状態	確定/仮/お任せのどれか		ディレクター
6	素材	写真・ロゴを誰がいつ用意するか		誰が用意するかはクライアントに聞き、期日はディレクターが決める
7	トーン	形容詞ではなく、色・写真・文字量・余白の言葉で		クライアントに聞いてディレクターが言葉にする
8	参考デザインと参考にする部分	URL・参考にする部分・真似しない部分		クライアントに聞いてディレクターが書く
9	NG	使わない色・表現と理由		クライアント
10	任せる範囲	提案してほしいもの/指定どおりのもの		ディレクター
11	案の数・修正回数・確認する人	初稿の案数、修正の回数、最後に決める人		案数と修正回数はディレクター。最後に決める人はクライアントに聞く
12	納品形式と期日	形式・初稿日・最終日		クライアントに聞いてディレクターが決める

クライアントの依頼文をデザイン依頼書に書き直した実例

依頼文をそのまま転送するとずれる理由を先に確かめてから、架空のB工務店の例で、届いた依頼文を12行の依頼書に書き直すまでを通しで見ます。

依頼文をそのまま転送するとずれる3つの理由

  1. 「おしゃれ」「高級感」のような形容詞は、受け取る人によって思い浮かべるものが違う
  2. 参考URLのどこを気に入ったのかが、依頼文には書かれていない
  3. 誰が最後に決めるのか、どこまで任せるのかが書かれていない

3つとも、渡されたままではデザイナーが自分で決めるしかない所です。依頼書の行7・8・10・11で先に埋めておけば、デザイナーが推測で決める所が減ります。

クライアントから届いた依頼文(架空)

デザインを頼む相手は、いつものフリーランスのデザイナーのCさんです。目的・入れたい要素・赤を避けたい事情は、先日の打ち合わせで聞いてメモに残っていたものとします。10月半ばに、B社の担当者から次のメールが届きました。

お世話になっております。先日お話ししたリフォーム相談のLPの件です。

全体的におしゃれな感じで、若い人にも響くようにしたいです。参考はこのサイト(URL)みたいな感じでお願いします。

写真は前に撮ったものがあるので使ってください。来月の折込チラシに合わせたいので、なるべく早めでお願いします。

このままCさんに転送すると、「おしゃれ」「若い人」「このサイトみたい」を、Cさんが自分の感覚で読むことになります。12行と並べてみると、メールだけで埋まる行は1つもありません。

デザイナーに渡す前に、クライアントへ聞き返した3つのこと

打ち合わせのメモと手元の資料を足しても埋まらないのは、行2(誰が見るか)、行7と行8(トーンと参考にする部分)、行11と行12(最後に決める人と期日)でした。そこで、B社に次の3つを聞き返します。

  1. 「若い人」とは、どんな状況の人か
  2. 参考のサイトの、どこが気に入ったか(気に入らない所はあるか)
  3. チラシを配る日とLPを公開したい日、デザインを最後に決める人

そのまま送れる返信文は次のとおりです。専門用語を使わず、答え方の例を添えておくと、相手は考え込まずに返事を書けます。

お世話になっております。リフォーム相談のLPの件、ありがとうございます。
デザイナーに頼む前に、3点だけ教えてください。

1. 「若い人」は、どんな状況の方を思い浮かべていますか?
   (例:家を買ったばかり、子どもが生まれた など)
2. 参考のサイトは、どこが気に入りましたか?
   (例:写真の大きさ、色、文字の少なさ など。気に入らない所があれば、そちらも教えてください)
3. チラシの配布日とLPの公開日、デザインを最後に決める方を教えてください。

初稿の日程は、お返事をいただいてからお知らせします。

B社からは、「中古の戸建てを買ったばかりの30代のご夫婦で、どこまで直すか決めかねている人」「参考のサイトは、白が多くて木の色が入っている所、1枚目の写真が画面いっぱいな所、文字が少ない所が好き。英語の見出しは要らない」「チラシは11月27日に配る。公開はその1週間前。最後に決めるのは社長」という返事が来たとします。

書き直したデザイン依頼書(アフター)

返事と打ち合わせのメモを12行に振り分けると、次の依頼書になります。右端の列は、その行の中身をどこから持ってきたかです。

No 項目 書き直した依頼書(記入例) どこから書いたか
1 目的 無料のリフォーム相談をフォームから申し込んでもらう 依頼文に無し。打ち合わせのメモから足した
2 誰が見るか 中古の戸建てを買ったばかりの30代の夫婦。どこまで直すか決めかねている 「若い人にも響くように」を聞き返した
3 載る場所・サイズ LP1ページ。チラシのQRコードから来る人が多いのでスマホが主 「折込チラシに合わせたい」から、見る端末を考えた
4 必ず入れる要素 ①相談無料 ②施工事例3件 ③電話番号と受付時間 ④会社のロゴ 依頼文に無し。打ち合わせのメモから足した
5 原稿の状態 見出しと料金の文言は確定。それ以外の本文は仮(来週確定) 依頼文に無し。手元の原稿を確かめて書いた
6 素材 施工事例の写真12枚(B社撮影・共有フォルダにあり)。ロゴのデータは10月23日までにB社から 「写真は前に撮ったもの」を共有フォルダで探し、枚数を確かめた
7 トーン 白地を多めに、木の色を差し色に。写真を大きく、文字は少なめ 「おしゃれな感じで」を、2つ目の質問への返事(参考サイトの好きな所)から言葉にした
8 参考デザインと参考にする部分 参考A:1枚目の写真を画面幅いっぱいに使っている所。真似しない:英語の見出し 「このサイトみたいな感じで」を、どこが気に入ったか聞き返した
9 NG 赤は使わない(近くの競合のコーポレートカラーのため)。「激安」など値引きを強く出す言葉は使わない(値引きの店に見せたくないため) 依頼文に無し。打ち合わせのメモから足した
10 任せる範囲 レイアウトと写真の選び方は提案してほしい。色は行7のとおり 依頼文に無し。ディレクターが決めた
11 案の数・修正回数・確認する人 初稿は1案。修正2回まで。最後に決めるのはB社の社長(担当者の先にいる) 最後に決める人は聞き返した。案の数と修正回数はディレクターが決めた
12 納品形式と期日 Figmaのデータ。初稿11月6日、最終11月13日(チラシ配布の1週間前の11月20日に公開) 「来月の折込チラシ」「なるべく早め」を、配布日から逆算した

メールの言葉をもとに書いた行2・3・6・7・8・12の6行も、メールの言葉をそのまま写してはいません。聞き返しへの返事や、共有フォルダで確かめた枚数を足して書いています。

残りの6行は、打ち合わせのメモ、手元の原稿、聞き返しへの返事、間に立つ自分の判断で埋めました。メールをそのまま転送していたら、12行のどれもこの形ではCさんに届きません。

この実例で、依頼書を作ってCさんに頼むまでに手でやった作業は、次の6つです。

  1. メールと打ち合わせのメモを読み、12行に振り分ける
  2. 埋まらない行を聞き返す返信を書いて送る
  3. 参考サイトのURLと参考にする部分を、行8に書き写す
  4. 金額と支払期日を書いた発注のメールを、依頼書とは別に送る
  5. できた依頼書をCさんに送る
  6. Cさんへの依頼費を、案件ごとに控えておく

依頼が来るたびに、この6つを繰り返します。デザインを頼む案件が月に何件もあれば、その件数分だけ同じ作業が続きます。

デザイン依頼書で「おしゃれに」「高級感」はどう書く?あいまいな言葉の言い換え表

形容詞のまま渡さず、クライアントに「どこを見てそう思うか」を聞き返して、色・写真・文字量・余白の言葉に直します。答えはクライアントごとに違うので、表の右端は書き方の一例です。

たとえば「高級感」を濃い色で表す会社もあれば、白と細い文字で表す会社もあります。言葉を受け取った人が自分で決めずに、出した人に聞き返すのはそのためです。

デザイン依頼書で「おしゃれに」を具体化する図。「どこを見てそう思う?」と聞き返し、「白地を多めに」「写真を大きく」「文字は少なめ」という指定に書き換える
「おしゃれに」は、相手がどこを見てそう感じたかを聞いてから、白地・写真・文字量の指定に変えます。
依頼文の言葉 クライアントに聞き返すこと 依頼書への書き方(例)
おしゃれに 「おしゃれ」と感じるサイトを1つ挙げると? そのどこが? 白地を多めに、写真を大きく、文字は少なめ
高級感を出して 高級だと感じるお店やブランドは? 色・写真・文字の書体のどれでそう感じますか? 背景は濃い色、文字は細い明朝体、写真は人物なしの空間
シンプルに いまのデザインで「多い」と感じるのは何ですか? 1画面に載せる情報は見出し1つと写真1枚まで
目立つように 何と並んだときに目立たせたいかを教えてください(チラシ・競合の広告・SNSの投稿) SNSの投稿一覧の中で目に留まるよう、背景は1色で文字を大きく
若い人向けに 何歳くらいで、いまどんな状況の人ですか? 中古住宅を買ったばかりの30代の夫婦(テンプレートの行2に書く)
信頼感を出して お客様は何を見て安心すると思いますか?(実績・顔写真・資格) 施工事例の写真と、担当者の顔写真を上のほうに置く
いい感じに・お任せで 任せたいのはどこまでですか? 決まっている所は? 行10「任せる範囲」に、提案してほしいものと指定どおりのものを分けて書く

聞き返しても言葉が出てこない相手には、サイトや広告を2〜3件見せてもらい、「どこが良いか」と「どこは違うか」を1件ずつ聞きます。比べる材料があると、相手も答えやすくなります。

聞き返すときは、1通のメールで3問までに絞ります。質問が多いと返事が来るまでに日が空き、その分だけデザイナーに渡すのが遅れるからです。

デザイン依頼書には、参考サイトのどこを参考にするかまで書く

参考サイトのURLは、受け取った人によって見る所が変わります。URLに「参考にする部分」と「真似しない部分」を添えておけば、クライアントとデザイナーが同じ所を見て話せます。

URLだけ渡すと何が起きる?

デザイナーは、自分が良いと思った部分を参考にします。クライアントが気に入った部分と違えば、初稿がずれます。

実例のB社は、参考サイトの「1枚目の写真が画面いっぱい」な所を気に入っていました。URLだけを受け取ったCさんが、英語の見出しや、写真を小さく並べた部分のほうを参考にすれば、初稿は丁寧に作られていても「イメージと違う」と言われます。この場合のずれは、デザイナーの腕ではなく、依頼書に参考にする部分が書かれていなかったことから起きています。

参考にする部分と、真似しない部分を分けて書く

デザイン依頼書で参考サイトの部分を指定する図。参考にする部分は「1枚目の写真を画面幅いっぱいに使っている所」、真似しない部分は「英語の見出し」
B社の例なら、1枚目の写真の使い方は参考にし、英語の見出しは真似しないと書き分けます。

参考サイトは2〜3件に絞り、1件ごとに次の4行で書きます。件数が多いと、どれを優先するかをデザイナーが決めることになります。

参考A:https://(参考サイトのURL)
参考にする部分:1枚目の写真を画面幅いっぱいに使っている所
真似しない部分:英語の見出し
理由:B社から「英語の見出しは要らない」と聞いているため

競合他社のサイトを参考にするときも、全体を似せる頼み方はしません。参考にするのは、写真の使い方や余白のような「部分」にとどめます。

NGは「使わない」だけでなく理由も書く

「赤は使わない」だけだと、デザイナーは朱色やオレンジを使ってよいか判断できません。「赤は使わない(近くの競合のコーポレートカラーのため)」と理由まで書けば、競合に似て見える近い色も避けやすくなります。

言葉のNGも同じです。「『激安』は使わない」に「値引きの店に見せたくないため」と添えると、「格安」「破格」のような言い換えも出てきにくくなります。

デザイン依頼書と指示書・発注書・RFPは何が違う?

デザイン依頼書と指示書は、同じものを指すことが多い書類です。発注書は金額・納期・修正回数などの取引条件を、RFPは提案と見積をもらうための条件を書く書類で、目的が違います。

書類 誰が誰に渡す 中身
デザイン依頼書(デザイン指示書・デザインブリーフ) 依頼する人 → デザイナー 何を、誰に向けて、どんなイメージで作るか(この記事の12項目)
発注書 依頼する人 → デザイナー 金額・納期・修正回数・著作権・支払条件などの取引条件
RFP(提案依頼書) 依頼する会社 → 制作会社 提案と見積をもらうための条件
コーディング指示書 デザイナー・ディレクター → コーダー デザインデータに描かれていない動き・状態など
修正指示 確認する人 → デザイナー 初稿のどこをどう直すか

納期と修正回数は、依頼書と発注書の両方に出てきます。2つの書類で日付や回数が食い違わないよう、同じ数字にそろえます。

デザインが固まった後にコーダーへ渡す書類は、コーディング指示書の書き方の記事に14項目のテンプレートがあります。発注書にそろえる取引条件の項目は、受ける側の立場から取引条件の明示で確かめる8項目の記事で一覧にしています。

初稿が届いたら、依頼書の行ごとに確かめて修正指示につなぐ

初稿は、渡した依頼書の12行と並べて確かめます。「なんとなく違う」と感じたときも、どの行とずれているかを言えれば、デザイナーに返す修正が具体的になります。

初稿はずれやすい行から確かめる

初稿をデザイン依頼書と照合する図。「目的と見る人」「色・写真・文字量」「NGと任せた範囲」を初稿と見比べ、ずれた行だけを「1行1修正」で直す
初稿は依頼書の行と見比べ、ずれた行だけを1行に1つの修正で返します。

全部の行を同じ重さで見る必要はありません。イメージのずれが出やすい行1・2、行7・8、行9・10の順に、1行ずつ合っているかどうかの印を付けていきます。

目的と見る人に合っているか(行1・行2)

行1の相談の申し込みボタンが、スマホの最初の画面で目に入るかを見ます。行2で書いた「どこまで直すか決めかねている夫婦」が読んで、相談してみようと思える言葉と写真になっているかも確かめます。

色・写真・文字量が依頼どおりか(行7・行8)

行7のトーンは、白地が多めで木の色が差し色になっているか、写真が大きく文字が少なめかを見ます。色は行10で「行7のとおり」と指定した部分なので、ずれていれば戻します。

行8は、参考サイトと初稿を並べて見比べます。実例なら、1枚目の写真が画面幅いっぱいに使われているか、英語の見出しが入っていないかを見ます。

NGと任せた範囲が守られているか(行9・行10)

赤や「激安」が使われていないかを確かめます。レイアウトと写真選びは任せた範囲なので、好みの違いだけで戻さず、デザイナーの提案として受け取ります。

ずれの原因が依頼書の書き漏れなら、依頼書に1行足してから修正を返します。同じ行をテンプレートにも足しておけば、次の案件では最初から聞けます。

直してほしい所は1行1修正で返す

ずれていた行は、「どこを・どう直すか」を1行に1つずつ書いて返します。クライアントから届いた戻しをデザイナーに渡すときも、同じ書き方にそろえます。

修正を一覧表にまとめる方法は、Webサイトの修正指示の書き方の記事で表と手順を紹介しています。初稿の確認待ちや戻しの期日の追い方は、Webディレクターの進行管理表の記事にまとめています。

TASKULで依頼文からデザイン依頼の申し送りを作り、依頼費を案件ごとに残す

実例で手でやった6つの作業のうち、1つ目の12行への振り分けは、TASKULのAIが代わりにやるわけではありません。元になる案件概要と申し送りの下書きをAIが作り、それを12行と見比べて直すのは自分です。

3つ目のURLは、AIが「重要リンク」に入れます(参考にする部分は自分で書き足します)。5つ目の送付は案件への招待で、6つ目の依頼費の控えは案件の中のタブで済みます。

2つ目の聞き返しと、4つ目の金額を伝えるメールは、これまでどおり手作業です。

ここに書く機能は、2026年10月10日時点で確かめた範囲です。外注先が何人もいて、会社として発注から請求までを仕組みにしたい場合は、制作会社の外注管理の流れをまとめた記事のほうが合います。

依頼文を貼って、デザイナーへの申し送りの下書きを作る

  1. プロジェクト一覧の「新規プロジェクト作成」を押し、「依頼文・議事録から自動作成」を選ぶ
  2. 「プロジェクト名」に案件名を入れる(実例なら「リフォーム相談LP」)。「クライアント」と「期日」は空でも進められる
  3. 「依頼文・議事録を貼り付け」の欄に、B社のメール、聞き返しへの返事、打ち合わせのメモを貼る(テキスト・PDF・画像のファイルは、「ファイルを添付」かドラッグで渡すこともできる)
  4. 「登録する」を押すと、AIがやることをタスクにし、案件概要を「案件概要」「注意事項」の見出しで書く。デザイナーへの指示が読み取れれば、「パートナーへの申し送り」も書く
TASKULの「依頼文・議事録から自動作成」の画面。プロジェクト名「リフォーム相談LP」、クライアント「B工務店」、期日「2026-11-20」を入れ、「依頼文・議事録を貼り付け」の欄にB社のメールと聞き返しへの返事を貼り、「打ち合わせメモ.txt」を添付した、デザイン依頼書の元になる依頼文を「登録する」で送る前の状態
B社のメールと聞き返しへの返事を貼り、打ち合わせのメモはファイルで付けた状態です。テキストのファイルは、中身が欄の末尾に足されます。データは架空です。

「パートナーへの申し送り」は、「■ デザイナーへの申し送り」のように役割ごとの見出しで書かれます。AIは依頼文をそのまま写さず、「何を何本、どういう仕様で作るか」「素材の制約」「落としやすいポイント」が分かる形で申し送りを書くように作られています。

依頼文の中のURLは、内容が分かる名前を付けて「重要リンク」に入ります。

出てきた申し送りは、そのまま渡さずにテンプレートの12行と見比べ、足りない行を足してから渡します。抜けやすいのは、行8の参考にする部分と真似しない部分、行9のNGの理由、行11の最後に決める人です。

デザイナーを案件に招待する(依頼費は見えない)

申し送りを書き足したら、案件の「詳細」タブにある「メンバー」欄の「追加」を押します。開いた「メンバーを追加」の画面で、「招待リンクで追加」の「リンクをコピー」を押し、コピーした招待の文面をデザイナーに送ります。

デザイナーは、リンクを開いてTASKULのアカウントを作る(すでにあればログインする)と、案件に参加できます。アカウントは無料で作れますが、外注先に登録をお願いすることになります。

TASKULの「メンバーを追加」の画面。「メンバーに共有される情報」に「タスク一覧・案件概要・メンバー一覧が共有されます。」「見積書・依頼費管理は各自の個人データとして保存され、他のメンバーには表示されません。」とあり、その下に「招待リンクで追加」と「リンクをコピー」のボタンがある。デザイン依頼書を渡すデザイナーを案件に招待する画面
「リンクをコピー」を押すと、「こちらのリンクから参加できます。」の一文とリンクが入った招待の文面がコピーされます。データは架空です。

招待の画面には「タスク一覧・案件概要・メンバー一覧が共有されます。」「見積書・依頼費管理は各自の個人データとして保存され、他のメンバーには表示されません。」と表示されます。申し送りは案件概要の中に入り、案件概要は画面で書き足せるので、書き足した依頼書の中身もデザイナーに見えます。一方で、依頼費の金額はデザイナーに見えません。

デザイナーへの依頼費を案件ごとに控える

案件の「依頼費管理」タブには、「外注・パートナーへの依頼費用を管理できます」とあります。「行を追加」を押して依頼先・内容・金額を入れ、「追加」を押します。

タブの上には「このデータはあなただけに表示されています。チームメンバーには公開されません。」と表示されます。

依頼先は、パートナーのリストから選ぶか、名前を入力します。パートナーには、名前や会社名、職種、スキル、費用感、面談メモを登録でき、パートナー管理はFreeプランでも使えます。

TASKULを使っても手作業のまま残ることと、向かない使い方

  • 依頼文にデザイナー向けの指示が無いと、「パートナーへの申し送り」は省略されることがあります。その場合は、テンプレートの12行を見ながら自分で書きます
  • 「注意事項」には、依頼文に無い一般的な注意点をAIが足すことがあります。デザイナーに渡す前に読み、案件に合わない行は消します
  • AIの下書きは、この記事の12行の表の形では出てきません。クライアントへの聞き返しの文面も、自分で書いて送ります
  • 発注書を作る機能はありません。金額や支払期日は、これまでどおりメールなどで送ります
  • FreeプランのAIクレジットは月200です。料金ページの目安(Standardの月2,400クレジットでプロジェクト作成が約16回)から計算すると、依頼文からの自動作成は月1回ほどです。有料プランは14日間無料で試せます
  • 依頼費は他のメンバーに表示されないので、チームで依頼費を見せ合う使い方には向きません
  • デザイナーがアカウントを作って参加しないと、申し送りはTASKUL上では見られません。登録をお願いできない相手には、申し送りをコピーしてメールで送ります

デザインを外注するのが月に1件もなく、依頼書をメールに貼って送れば足りるなら、表計算ソフトの12行で十分です。依頼が重なってきたら、TASKULのFreeプランで、次に届いた依頼文から申し送りの下書きを作ってみてください。

デザイン依頼書のよくある質問

呼び方の違い、作るファイル、小さな依頼での使い方、クライアントやデザイナーへの任せ方について答えます。

デザイン依頼書とデザイン指示書は違うものですか?

同じものを指すことが多く、どちらも「何を、誰に向けて、どんなイメージで作るか」をデザイナーに渡す書類です。金額や支払期日などの取引条件は、発注書に分けます。

デザイン依頼書はエクセルとWordのどちらで作りますか?

行で並べられるエクセルかスプレッドシートが扱いやすいです。この記事のテンプレートは、A1に貼れば列が分かれる形にしてあります。送るときは、デザイナーが普段使っている共有の方法に合わせます。

バナー1枚だけを頼むときも、依頼書は要りますか?

12行すべては要りません。最低でも、行1(目的)・行2(誰が見るか)・行3(載る場所・サイズ)・行4(必ず入れる要素)・行8(参考にする部分)・行12(期日)の6行は渡します。バナーに載せる文字は行4に書くので、行4は省けません。

クライアントがイメージを言葉にできないときはどうすればいいですか?

参考になりそうなサイトや広告を2〜3件出してもらい、それぞれ「どこが良いか」と「どこは違うか」を聞きます。あいまいな言葉の言い換え表の質問を、そのまま使えます。

修正回数や金額も依頼書に書いていいですか?

修正回数は行11に書き、発注書にも同じ回数を書きます。金額や支払期日は依頼書に入れず、発注書やメールで別に送ります。修正の上限の決め方は、修正回数の上限と追加料金の決め方の記事で紹介しています。

Figmaでデザインしてもらうときも、このテンプレートで頼めますか?

頼めます。行12の納品形式に「Figmaのデータ」と書き、ページの分け方などに希望があれば同じ行に添えます。デザインができた後にコーダーへ渡す指示書は別の書類で、項目はコーディング指示書の書き方の記事にまとめています。

デザイナーに「お任せで」と頼んでもいいですか?

任せる範囲を決めてから頼みます。行10に「提案してほしいもの」と「指定どおりのもの」を分けて書くと、任せた部分の提案を受け取りやすくなります。

まとめ|デザイン依頼書は依頼文を12行に書き直して渡す

デザイン依頼書は、クライアントの依頼文をそのまま転送せず、12項目のテンプレートに書き直してから渡します。形容詞は聞き返して色・写真・文字量・余白の言葉に直し、参考サイトはどこを参考にするかまで書きます。

今日やることは3つです。

この記事のまとめ

  1. 手元にあるクライアントの依頼文1通を、テンプレートの12行に振り分ける
  2. 埋まらない行(誰が見るか・参考にする部分・最後に決める人など)を、実例の返信文と言い換え表の質問を使って聞き返す
  3. 埋まった依頼書をデザイナーに渡し、初稿は同じ12行で確かめる

デザインを頼む案件が増えて、申し送りを書く手間とデザイナーへの共有の手間が重くなってきたら、TASKULのFreeプランで、依頼文から申し送りの下書きを作るところから試せます。

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この記事の執筆者

執筆

TASKUL編集部

TASKUL(タスクル)の編集チーム

フリーランスや制作会社向けのタスク管理ツール「TASKUL(タスクル)」の編集チームです。複数の案件を抱える制作者から寄せられる、段取り・見積・請求の困りごとをもとに記事を書いています。

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